バースデイ ...... 10
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 壮絶な心地良さがすぐには引かないのが苦しくて、ぐったりと横たわったまま、動けない身体で身悶える。呼吸がなかなか整わなくて、肩と胸を忙しなく上下させた。
 手を離されたことだけは知覚できる。
 しかし麻痺しきった感覚と焦点の合わない目では、こちらを見下ろしているであろう相手の位置が掴めなかった。
 気配すら感じ取れないことに気づいて、ナルトは震える。
 が、次の瞬間には、誤りなく抱きしめられれ、再びその大きな身体の下へ敷き込まれた。
 力強い抱擁に、混乱する。反射的に、肩と首筋へと腕を回し、しがみついた。相手の頑健な腰を、上げたままの内股で挟み、筋肉質の太股へは、膝や脛や踵、全部を絡めた。
 安堵に胸をえぐられて、肺の奥が軋むように痛む。
 声も出せない。
「いい子だ」
 上げさせた足腰や枕の角度を調整して、自来也は先程ナルトに舐めしゃぶられて育ったものを、入口の襞に含ませ軽く含ませ、押しつけた。もう充分に準備の整ったそこに挿し入るのに、妨げになるものは何もない。
 しかしすぐに、組み敷いた相手の呼吸が止まっていることに気付く。
「おい、息をしろ」
 軽く頬をさすって耳許に囁いた。この子は時々、我を忘れて夢中になると、息をすることまで忘れてしまうことがあった。
 掛けられた声にナルトは我に返って、再び大きく息を吐く。たちまち荒い呼吸が再開する。
「どうした」
「う、」
 しがみつく指に力を込める。
 ほんの数秒、それは放置とはとても呼べないほどの、短い間だった。なのに身体を離された自分は、一瞬で打ちのめされ、ここまで深いダメージを負う。
(なんで……!)
 どうした、と問われて、また臆面もなく、行かないでくれ、途中でやめないでくれ、と訴えそうになる自分を、必死に押し止めた。
「どっか痛いのか」
「ち、ちが、」
 慌てて頭を振り否定する。
「無理はするな」
「へ、へぃき……っ、だ、から、は、」
 懸命に縋る。押し付けられたものを欲しがって、更に膝を開き、歓迎の意思を表示した。肩から背中にまわした指で相手の皮膚を掴み、ぐっと力を込める。
 自来也は背中を襲う鋭い痛みに顔をしかめた。
 肌を引き裂くほどの強さで、ナルトの爪はぎりぎりと喰い込んでくる。
「はやく、ぅっ」
(こいつ)
「お、お願い……、は、入ってき……てっ」
 乞われるまま、挿入を開始する。相手の焦りの原因には、すぐに思い当った。
 自分のミスだ。彼のこの恐慌は、常に身体のどこかに手を触れてやってさえいれば、防げるものだと分かっているのに、どうも上手くいかない。軽く手を繋いでやってさえいれば、それで良かったのに。
 

「う、く……っ」
「大丈夫か?」
 どんな細かい表情の変化も見逃すまいと、固く閉じて引き絞られた眉根や目元、唇を注視しながら、慎重に押し入り、進めてゆく。何度か絶頂を味わってほぐれ、弛緩しきった身体だ。温かく濡れそぼり蜜を溢れさせるそこが、抵抗を示すわけがない。
 張り出した先からくびれまでをゆっくりと収めれば、そこから先は、必要以上に力を入れてねじこめることもなく、ぬるりと容易に吸い込まれる。
 全長を納めると同時に、狭めた肉管に包まれぐっと絞め付けられた。
(……っ)
 ナルトの中は本当に、具合が良過ぎると思う。
 熱さにとろけてしまいそうだった。あの、輝かしく愛おしい、光。この子が切り開いてゆく未来そのもののような、眩く周囲を照らし灼く熱だ。それに直に触れて粘膜を通して繋がる感動に息をひそめる。
 欲しがって性急に動き始めたくなるのを堪えるのに、いつもかなりの精力を費やしていた。
 当たる位置を細かく加減しながら、互いが一番楽に快楽を貪ることができる角度を調節する。先で奥を探って、気持ちの良い圧力の中をそろりと進み入り、押し付けると、ごつり、と突き当たった。膣だけでなく、子宮口までしっかりと存在するのが不思議だ。
 最初は細く儚げで、幼さばかりが印象的だったこの内器は、回を重ねるごとに入れられるものを受け止めて支える、しっかりとした器官へと成長した。男のものの大きさや形を覚え、頼もしく包み込み、悦をもたらす。
 良く出来ているものだと思う。
 変化の技を繰り返すたびに、学習の結果が反映されているのだろうか。どういう仕組みなのか、未だによく解らないが。
「は……ぁっ」
 ぶるり、と全身を震わせて、ナルトはうっすらと瞼を開いた。願いを叶えられて、力を込める必要性を失った手指が、自来也の首筋や背中をするりと離れる。
 両腕は、ぱたり、と敷布に落ちた。
 細く姿を現わす瞳を覗き込む。
「ナルト」
 その名に全ての想いを込めて、声を掛ける。ぴくりと、互いを繋げた柔らかい内部が呼応した。
 こうしながら名前を呼んでやると、この子がとても歓ぶことは知っている。
「ぇ、へへ……」
 見込み通り、口元をほころばせた。
「ねぇ、エロ仙人」
「ん?」
「……エロ仙人ってば」
 少しだけ息を弾ませながら、ゆったりと甘えた声で、いつもの、彼だけの愛称を連呼し始める。静寂に沈む部屋でも、その囁きは彼ら二人の耳にだけにしか届かないような、小さな小さな声だ。
「なんだ」
「ん……大好き」
 恒例の告白だ。
「……ああ」
 その声音に聞き惚れ、
「わかっている」
 自来也は毎回そうしている通りに、じっと目を閉じ、真摯に受け取める。
「……ワシの持つものすべてが、おまえのものだ」
 教えられることも、与えられるものも、形ある力や言葉からとりとめのない想いまで、何かも全部を。この子のために。
 いつも即座に返ってくるしっかりとした答えが、ナルトは嬉しかった。背筋を震わせ、薄い腹を波打たせて悦ぶ。
 低く掠れる自来也の声に、全身がふわりと溶けるような浮遊感に見舞われる。
「あ」
 快楽に素直な心と身体は、感じた心地良さを糧に、再び奥からとろりしたものを染み出させた。うるみながら繋がる部分へと、隙間なく浸透していくのを感じているうちに、また思わずきゅっ、と食い締めてしまう。
「は……ん」
 どうにも出来ず、それを機に自分から腰を揺らし始めてしまった。
「仕方ない子だのォ」
 すぐに主導権は奪い取られてしまう。熱く滾り、硬く芯を持ってぎっちりと詰め込まれた強いそれは、ナルトの稚い動きなど簡単に掻き消すような重い質量と大きさをもって、ぐっと体重を掛けてくる。
「や、ぁ! あん」
 襲う衝撃と快楽に、瞼が上がる。
 視線がぶつかる。
 先程の優しい微笑みとはまるで違う、意地悪く口の端を引き上げた師匠の笑みがあった。
「もっとここに力を籠めてみろ」
 欲情に塗れた声で、命じられる。
「ひ」
 脳が言われた内容を理解するより早く、身体は、男の声からその意思を汲み取って、従った。
 反射的に身体を捩る。一杯に押し広げられてしまっているその部分を、思うように力の入らない全身をもって、精一杯絞り込んだ。
「……っ」
 何度そうされても、飽きることはない。予想以上の応えの良さに自来也は呻き、荒く息を吐き出す。
 しかし今はその衝撃に耐えることはせず、心のおもむくまま自然に始まる動きに没頭することにした。
 弾力の中を突き進んでは、ぬめる締まりを使って擦り上げる。
 そして、狙い打つように明確な意志の下で犯し始めた。
「あ……あっ、ぅんっ……」
 始められてしまえば、もうナルトにはどうすることもできない。溢れる声は、自力の制御を離れ、たちまち止められなくなってしまう。
 腰を膝を上げさせられた格好で、身体を折り曲げ、押さえ付けられたまま、ただ揺らされるだけだ。









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