バースデイ ...... 09
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 月は、こうして窓から見上げると思いの他明るく、煌々と輝いていた。
 四角く切り取られた明りの下で、両膝を立てさせられる。長い髪を広く散らし、胸をつんと立ち上げて全身を晒すナルトにとって、男の視姦を可能にするには充分に足りるその光量は、真夏の陽光のように容赦無いものに思えた。
 自来也は、しばらくの間、覆いかぶさるようにナルトを抱きながら、その瞳に映り込む月の光を眺めていた。それは、とても美しく、この世に二つとない宝玉のようなものに思える。
 そんな師の様子を、ナルトもただ静かに見つめ返す。そうやって二人で過ごす時間の、ゆったりした流れと静寂、互いの気配を、ただ味わった。
「月にまつわる伝説を知っているか、ナルト」
「……え? つき……?」
 唐突に問われ、瞼をしばたたく。長いまつげが揺れる。休めていた喉には、声が絡んだ。
「いや、何でもない」
 そう言うと、師匠は目を閉じさせるようにその瞼へと軽く唇を押し付けた。それから鼻の頭や頬を辿る。
 さっき散々もてあそんだ唇へは小さくキスを送るだけにとどめ、彼は口付けの対象を、やがて胸元へと移した。ぷるんと震えながら五指の内に収まるかたちのよさ、その柔らかい肌。この完璧な造形美が天性によるものなのだから、始末に負えない。膨らみのきわを手に取り、唇も使ってじっくりと堪能し始める。
 硬さを誇張するように赤く立ちあがるそこを、先程は触れるだけだったが、今度は唇で吸い取り、お返しとばかりに舌で包み、舐め上げて転がしてやった。
「や、あ、あぁ……ん、んっ」
 まるで待ち望んでいたかのように、ナルトも素直にその快楽を甘受して身悶える。熱く弾ませる吐息に、鼻に掛かったような高めの声で喘ぎを織り交ぜては、喉声を上げる。先端を指で摘まれ、舌でつつかれ、またしごかれるように攻められれば、それがいいと言って鳴いた。
「ひ、ゃあ、あん! はぁ、あ、ん」
「ここがそんなにいいか」
「い、いぃっ……、いゃぁああっ」
「こうされるのが」
 食べられるその部分ごと振り乱して悦ぶ。
 あまりに素直な応えに、自来也は苦笑するしかなかった。
 膨らみの谷間にも吸い跡を赤く、いくつも付け増してゆく。掴み上げてはきゅっと揉みしだいて頬ずりした。
 だが、その愛撫も、それほど長くは続かない。男の興味がそこから更に下肢へと移ってゆくのは、当然の流れだ。胸から顔と手が離れて行き、途中、薄い腹に何回か口付けが送られる。
「……っ!」
 ずくりと、背筋を震わせる衝撃が走り、ナルトははっと目を見開いた。腹筋に、特段感じる部分があったわけではない。それは胸を引き絞られるような、感情的な反応だった。
 自来也は時々ナルトの下腹部に、こうして口付けを送る。今まで、その自然な仕草を気にしたことはなかったが、今日の今、その愛撫には意味があるのではないかと、彼は卒然と思い至ったのだ。
 しかしそのことについて考える間は与えられなかった。気付けば、足首を掴まれて、腰ごと膝を上げさせられていた。その上、腰の下と布団の間に、枕まで挟み込まれてしまう。
「な、なん……っ?」
 意味が分からないことではなかったが、いつもはされない準備を整えられて驚く。しかし尋ねる隙さえ無く、自来也はナルトの膝を開かせると、先程までは指でしかいじめていなかったその箇所を、眼下に曝け出させた。
 両手の指を添え無遠慮に広げてゆく。
「い……ぃやぁっ、やめ……っ!」
 月明かりの下で暴かれてしまう。何かの罰かと思うほど恥ずかしくて、焦り、声にならない声で制止をわめきながら、両手を伸ばした。そこに、足の間に顔を埋められてしまうのをどうにか制止したくて、迫る相手の頭を押しとどめようとしたが、間に合わない。
 無理矢理割れ目を広げられ、ねっとりと全部を舐め上げられる。
「き、やぁあああぁっ!!!」
 悲鳴を上げた。強引に与えられる愉悦の衝撃。じゅるりと辱めるための音をわざと立てて、舌での施しが始まる。
 こうされてしまったら、もう抵抗のしようがない。膝を閉じようとしても押さえ付けられてうごかせず、腰をひねって逃れたがっても上手く力が入らなかった。
 そんな弱々しい動作は、逆に相手の嗜虐心を煽るだけだ。為す術もなく、前の襞をこじ開けてゆく指が、感じ易い小さな肉芽の核をほじくり出してゆく。
「……っ」
 覚悟を決めて目を固く閉じたが、無駄だった。
「やぁああぁあんっ!」
 たちまち舐め取られる。舌の先で転がされ、染み出すものと一緒に吸い上げられる。
「ひあっ……あ……んっ、くぅ、あああっ!」
 背筋を跳ね上げ、しならせながら、堪らず頭を打ち振るった。量のある髪がぱさぱさと敷布の上に踊る。予想出来得る範囲を大きく超える快楽を、唐突に、これほどまでかというほど供給されて、みっともなく上げる悲鳴がとまらない。
 手加減無い舌の動きは、さきほど胸に受けた施しより何倍も強い、過酷な責め苦だった。
「あぁっ、ん、お、おねが、やめてく……っ、ひ、ぁあっん」
 剥き出しの神経を直に貫かれるようだ。縋るものを求めて、ナルトの両手の指は、足の間から退くことのない銀髪を掻き乱す。が、それは相手にとっては行為を促しているようにしか受け取られない。
 優しく丁寧でありながら、無慈悲な乱暴だ。気持ちいい。苛まれ続けながら、節張った長い指が、尚も割れた襞の奥へと差し入れられて来るのを察知する。
 繊細で多感な部分を、再び集中的になぶられることは容易に予測でき、ナルトは慄いた。
「い、ぁ、ぃ……や、やめっ」
 いつもの手順だ。これから先も、何をされるかは分っている。脳がそう察知し判断したのだろう、そこで分泌が始まるのを自覚した。
 とろりととろける。どころか、もうぐちゃぐちゃだ。
 止まらない。
 滴る狭い管には、二本の指がまるでそうするのが当然のように突き立てられた。あっというまに、その支配の及ぶ範囲を知らしめるが如く、入口から届くところまでを我が物顔で行き来する。
 潤沢さを愉しまれては、内側の粘膜ををぐるりと宥められる。
「あ、ぅっあっ、い……っ」
 身をよじって食い締めるが、力を振り絞ったところで、抵抗には程遠かった。
 普段の自分には存在しない器官なのに、今のナルトの感覚では、その中や周辺で起こっていることだけしか感じ取れなくなっている。そして、圧迫されれば快楽しか生まないその位置を、ナルトが自分では触ることもないその場所を、確実に捕えられ、その広い指の腹で押し潰される。
「も、や」
 だけではない。加えて、つい今し方までは口で可愛がられていたはずの、ぷっくりとふくらんで充血し赤く火照った前の核に、再び親指の腹が押し当てられる。その二か所を同時にぐっと揉み込まれて、
「ぃ、やぁあっ ぁあああーーーっ!!!」
 喉から絞り出すような悲鳴が迸った。
 それは全身が跳ね上がるような、強烈な快楽だった。頭が真っ白になって身体が強張る。襲ってきた衝撃は余りに突然で凄まじく、一体何をされてしまったのか咄嗟には分からない。
 が、ぴしゃりと飛び散る水分を感じ取り、自らの首筋の辺りにまで細かい飛沫が届いたことを知って、ナルトは愕然と目を見開いた。
「元気がいいの、相変わらず」
 愉快そうに笑いを含む声が、鼓膜を打った。
「な、な……ん、で……」
 また、指だけでいかされてしまったと悟る。スイッチを押せば発射するような仕掛けの、おもちゃか何かになったみたいだった。指だけの簡単な操作で、自来也はナルトの身体を自在にコントロールしてしまう。
 相手の機嫌の好い声から察するに、今吹き上げさせられた体液は、勢いがよく量も少なくはなかったのだろう。
 恥かしくてたまらない。力がまるで入らない全身を投げ出して、荒く息を吐き出し、みじめさに呻く。何でそんなことが可能なのか、ナルトにはさっぱりわからなかった。いつも、あっというまにそうされてしまうからだ。
 感じるのは、計りしれない技術を持つ相手に対する畏怖だった。









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