バースデイ ...... 07
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 暗く沈む部屋に、窓から淡い光が差し込む。
 満月ではない。少し欠けている。十五夜が過ぎてから数日が経っていた。
 月光を受けて闇の中に青白く浮かび上がる肌。僅かに反射させながら流れ落ちる豊かな髪。相手を愉しませるための裸の身体を、その眼前に晒す。
 胡坐の上で背後から抱かれていた。膝を広げさせられ、柔らかく膨らませた胸が手の中で弄ばれている。
 充分に大きさと張りを持たせ、かたちよくつんと尖らせてあった。相手の好みと見事に合致させたそれを、存分に慈しまれるこの時間は、云わば成果報酬のようなものでもある。
 見おろされる視線を痛いほど感じていた。背を預け、項を相手の肩口に擦りつけるのが、精一杯の甘えの仕草だ。
 ナルトの首筋の肌にはすでに、唇で吸い上げられた赤い跡が点々と付いている。
「晴れの日にこうするのは新鮮だの」
 肌に掛かる息。声の響きに、背骨が震える。
「……うん」
 小さく頷いた。
 身体を重ねて寛ぐことができるのは、どうしても雨の日に偏りがちだ。こんなふうに夜月を眺めながらするのは、初めてのことだった。
 今日は暇つぶしではない。正真正銘のお祝いだ。誕生日の。おそらく、記憶にある中では初めての、純粋な祝福。
 嬉しくて、気持ちが盛り上がるまま、揉みしだく手の平に自分の手を重ねる。大人の広い手指に下から持ち上げられ、脇の下に指を立てられ、ぎゅっと握られる。かと思えば感じやすい硬みを摘まれた。
「ん……っ!」
 不意打ちの意地悪に小さく息を飲む。
 びくん、と、つられて腰までが跳ね上がってしまう。敏感に反応を返す身体が、止められない。
「や、やぁ……っ」
 両方を同時に指の腹に挟まれ、こりこりと押し潰されてしまい、更にはしたない鳴き声が漏れる。
「ひゃぁああっ!」
 痛いのに、気持ちいい。恥かしくて嫌だけど、やめてくれと言うことは出来なかった。ただ身悶えて歓び、もっとしてほしくて、ねだるようにそのいやらしい指に自分の指を絡め、項を擦りつける。
 ひとしきり両手で胸の柔らかさを堪能した終え、男は次へと行為を進めた。
 片方の手を、広げさせた足の間へと下ろしてゆく。
「あっ」
 足の付け根を辿られるだけで、声が出てしまう。
「焦るな。まだ何もしてないだろ」
 無骨な長い指は手探りで、ナルトの腿の内側を器用に暴いてゆく。まるで、その指先に目がついているかのような正確さだと、いつも思う。
「別に……焦ってなんて、いないってばよ……」
 ただ、胸を触られただけで、早くも熱を持ち湿り気を帯び始めたに違いない足の間の奥の状態を、これから知られるかと思うと、今更だがどうにもいたたまれないだけだ。きっと気付かれれば、冷やかされるに決まってる。
 悪戯な親指と人差し指に、再び入口の襞の一つを軽く摘まみ取られて、挟んで揉まれる。彼は、この身体のどこがどうなっているかを、本人よりもよほど良く知っていた。他の指もみな的確な箇所へと押し当てられ、または差し込まれ、力を加減しながらも容赦なく食い込んでくる。
「……っ!」
 優し気に軽い動きで掻き分けてくるかと思えば強引に中へと差し込まれそうになり、息を詰めれば、はぐらかすように離れてゆく。
「ん」
 髪を振り乱しながら息を荒げ、今だに胸をいじり続ける片腕に縋りついた。
 そうやって懸命に相手に身を任せ、反応を伝えようとするナルトに、だが、自来也は一顧だにしない様子で指技を進めていく。
 割れ目を広げられ、前から後ろまでを、何度も行き来される。そのうちに、入口から第一関節までを含ませられたかと思うと、指の腹は、その湿った襞の間をいやらしい動きで細かく掻き乱した。
「ぁ、んっ……」
「早いな」
「や……ぁっ」
「もう濡れてきた」
 とろりと染み出すそれを爪に絡めながら、声は愉快そうに、手の中の相手の状態を言葉にしてゆく。
「今、出てきたのがわかったか?」
 ワシには判かった、と囁かれ、
「も……やぁっ」
 恥かしさをこらえきれず身をよじった。
「可愛いもンだのォ」
 喉奥で、笑われる。
 こんなふうに、しどけなく体液が洩れ出す瞬間までも、片手の、ほんのわずかな指の動きだけで、容易に操作されてしまう。ナルトは自分で自分をどうすることもできないのに、自来也にとってこの身体は、操り人形のように御しやすい代物らしかった。
 くちゅりと、濡れた粘液でわざと音を立てながら、やさしく指をくゆらされ、と同時に、もう片方の手で、胸の硬みを再びつまみ上げられる。
「ひ、ゃあぁっ!!」
 つきん、と、痛みと快楽とで同時に神経を刺された。踵が跳ね上がる。
 分りやすい反応が、照れくさくて堪らない。
 しかしそれ以上のことはなかなかしてもらえそうになかった。いつものように時間を掛けて、じっくりとほぐしてゆくつもりらしい。感覚の鋭さをゆっくりと引き出すために、まだ敏感になりきっていない神経を、指先で細かく爪弾いて覚醒を促してゆく。
 丁寧に慣らせば慣らしただけ感度が上がるのを、二人は経験から知っていた。
 引き続き、足の間に忍ぶ手が、指の長さを生かして巧みに食い込んでくる。小指と薬指で尻の丸みを揉むかと思えば、親指は感じやすい前の肉芽を探り、押しつぶすように揉みほぐす。
「は、あっぁん、んっ」
 そして人差し指と中指で、ぬかるむ深みの縁を、尚もなぶり続けられた。
「や……ぁっ」
 鼻から洩れるような小さな悲鳴が、乱れる息と共に次第にひっきりなしに上がる。
「ね、お、おねが……ぃ」
 その指をもっと奥まで入れてほしくて、我慢しきれずに誘う。欲情の衝動のままに腰を落とし、押し付ける。
 無邪気な要求に応じて、その二本の指は即座にねじ込まれた。
「ぁああーーっ」
 思わず顎を上げ、悲鳴を上げる。まったく焦らされることなく突然に願いは叶えられ、ナルトは歓喜に震えながら堪らず頭を振り乱し、髪を揺らした。
「あ、あぅ、……んっ」
「素直に喜びやがって」
 貌を見せろ、と囁かれ、いきなり身を引き剥がされる。次の瞬間には、脇と腰を掬われて身体が浮いていた。くるりと反転させられ、向きあう格好で抱き直される。
 顎を指で掴まれ、顔を上げさせられた。
 目が合う。









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