夜の終わる音がした ...... 10
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 ひたり、と吸い付くような薄い皮膚に覆われた相手のそれを、濡れて剥きだしになった粘膜はリアルに感じ取っていた。少しずつそこを圧し広げながら、液を纏わりつかせ、ぬるり、と更に押し入ってくる。間を取りつつ、じっくりと馴染ませながら……。
「や……っ! こ、こんなの……っ」
 太い。大き過ぎる。それだけは分かる。急に怖くなって悲鳴を震わせた。
「む……無理っ! は、入るわ、け……ないってば……、ぁあっ!!!」
 無駄だと知りつつも、反射的に腰を引き、逃げを打つが、どんなに逃げ惑おうとも正確な角度で突き立ててくる。
「動くな」
 短い囁きは、最早容赦のない命令だった。侵入する力を少しも緩められないまま、思い切り体重を掛けられる。動けない。
「ひ……、あ……っ」
「力抜けって。そうすれば幾らかはマシになる」
(嫌だ、怖い…っ!)
 息を止めた。力を抜けと言われれば言われるほど、緊張は強くなる。
 少しでも隙を見せれば、その瞬間にもっと奥へと踏み込まれてしまうだろう。
「ナルト、このままじゃどうにもならねーだろ。言うことを聞け」
「そ、んな」
 抵抗は、長続きしそうになった。呼吸で腹筋を使うと同時に、ほんの少しではあるが、そこの筋肉が緩んでしまう。その瞬間を狙われていることを、本能的に感じ取る。
 組み伏せられながら、最後の慈悲を請うように、自由の残っている首を振って意思表示を試みた。見上げて視線を合わせ、必死に赦しを求める。
 が、自来也の表情は変わらなかった。
 もう息が続かない
「……ふ、ぁ」
 声を漏らした瞬間、過たず進み込まれた。
「っ!!!」
 狭く細い器官に、許容量を超えるものを無理やり押し込まれる。
「やぁああぁーーーーっ!!」
 悲惨な悲鳴を散らしながら、穿たれる。めりめりと圧し開かれ、肉を引き裂かれる音が身体の中で反響した。
 その上、次の瞬間には張り上げた声ごと、唇を唇で塞がれる。
「ん、く……っ」
 呼吸を奪うほどではなく、ほんの一瞬触れただけだった。しかし、その意図はナルトにしっかりと伝わる。
「……はぁっ」 
 ナルトは声を殺し、大きく喘いで肩で呼吸した。


 それが精いっぱいだった。他には何も出来ない。ぐっさりと串刺され、骨盤の奥へ挿し込まれる激痛は、まるで雷に打たれたようなショックだった。
 頭が真っ白になる。
 思考も言葉も、何もかも一瞬で奪われた。声まで制御され、腰も足も、全身、自分の意思では一寸たりとも動かせない。瞼を開ける気力すら湧かず、ただ無言で薄い腹をぴくぴくと痙攣させるだけだ。
「いい子だ」
 この宿の部屋は、それほど広くもなければ壁が厚いわけでもない。自来也は口付け一つで意図を汲み取り、悲鳴を飲み込んだナルトを褒めた。
「次の時は、もっと声の出せる部屋で抱いてやるから、のォ。今回は許せ。声が大きくなっても、ワシがなんとかする。分かったな?」
「あ、ぅ……っ」
 繋げられたまま言葉を掛けられ、ナルト喘いだ。そうされている間も、差し込まれたそれはじわじわと進んでくる。あからさまに自分とは異なる体温を持って、熱く滾っているものだ。表面は柔らかく優し気なのに、強く芯を持って確実に侵入して来る。まだ先へと、これ以上の奥があることも今、こうされてようやく知る、この身体。
 脳がその状態を感じ取る度に、洩れ出す体液が増えるのが分かった。
 貫かれたまま、直に触れる熱量の生々しさに気が遠くなる。
 自来也は、相手が身動き一つ出来ず震えている様を観察し、また内側からも感じ取っていた。
 そうしながら更に中へと、慎重に、じっくりと己を沈ませてゆく。
(良過ぎるな、これは)
 ナルトの未熟で細い管の中は、侵入するものを歓迎するように、初めてとは思えないほどにぐしゃぐしゃに濡れそぼり、熱く熟れていた。狭く温かで複雑な肉襞を掻き分けながら、奥へと沈みこませれば、まだ全部を収め切らない内から、飲み込まれるような気持ち良さに見舞われる。
 思わず感じるままに、荒い息を吐き出した。凄まじい具合の好さだった。
(これほどとは)
「もう少しだけ、辛抱……できるか」
 緩い動作で相手の膝に指を掛け、広げさせる。細い腰を持ち上げて、そっとめりこませた。
「これで、全部入る」
「ぅ、ん……っく」
 ぐっと突き入れられ、奥まで到達される衝撃に、ナルトは目を閉じたまま身体を強張らせ、引きつらせる。穿たれる鈍痛は凄まじく、殺されるのではないかと思った。声も止められない。際限なく喚くが、口から洩れる音は、弱々しい呻きにしかならなかった。
 受け入れているそれの、余りの存在感に圧倒される。
「どうだ、直接……繋がるのは」
「……っ!」
 どうだと訊かれても、とても答えられたものではなかった。言葉になんかならない。丸みを帯びた尻を持ち上げられれば、内側の薄い肉壁が一杯に引きのばされるのがリアルに感じ取れた。無理矢理入れられた相手のものを、それでも柔らかく包みこもうと躍起になっている、自分の足の間の、中の方。
 これ以上の痛みと摩擦を怖れる身体は、勝手に体液を滲み出させていた。肉管を温かくぬめらせながら、硬く打ちこまれたものをいっぱいに頬張って、苦しい。その状態を理解すればするほどに、驚きや恐怖は、しかし達成感と入り混じって、わけがわからなくなる。
 興奮に脳髄が打ち抜かれるようだ。
「ぃ……っ、あ、」
 乱れてゆく呼吸と共に自然に上がる声を、止めることはできなかった。
 自来也は、まだ動き出さない。ナルトの小さな内器が、深く突き挿したものの形や大きさに馴染むのを、じっと待っているようだった。こちらの体温の上昇まで気取られてしまうのでは、と想像した途端、中は震え、勝手に蠢き、のみこんでいるものを、きゅ、と絞め付ける。
「ん、ぁ、ひ……ぁっ」
 ナルトがどうするべきかを考えるより先に、身体は反応し始めていた。小さく喘ぎ声が漏れ、両足のつま先がぴくぴくと痙攣する。
「よくなってきたか……?」
 自ら動きたがっている気配を感じて、自来也は口の端を引き上げた。その口元の綻びを瞳孔に映すやいなや、ナルトは瞳をいっぱいに見開いた。









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