しっかりと抱えられていた上半身が、急に引き剥がされる。何が起こったかを理解するより先に、身体を転がされ押し倒されていた。
　あっという間だった。相手の大きな身体が圧し掛かって来る。
（そんな……！）
　制止する間も無く、抗いを試みる間などあるはずもなく、簡単に動きを封じられる。
　そのまま胸の固みを舐め上げられていた。
「ぃ、ひぁっ、いやぁあぁ……っ！」
　揉みしだかれながら、口の中に吸い込まれたかと思うと、舌の先で転がされる。
「は……っ！　ゃああっ」
　指の腹で悪戯に摘まみ取られては、やんわりと甘く咬まれ、ねっとりと舐め上げられた。強烈な快楽に惑乱するまま、長い髪を振り乱して身悶える以外に何も出来ない。
　しかも、それだけでは終わらず、膨らみの際を指で掬われたかと思うと、
「ひ」
　胸先の、一番敏感な部分に爪の先を軽く喰い込まされた。
　絶妙な力加減で爪弾くように、転がされ、
「ぁ、ああっ！　ん……っ！」
　摘まれ、吸い上げられ、揉みしだかれる。
　背をしならせ、腰まで弾ませながら悲鳴を上げていた。
　虐めを受けていたのは口の中や胸だけではない。尻の肉を掴み、隙間へと食い込んでゆく指は、這い回る範囲を確実に広げていた。
「……ナルト」
　促すように、密やかに名を呼ばれ、
「ぅ……っ」
　ひくりと身体を強張らせる。
「見せろ」
　足の隙間のそこは、無論、ナルト自身もそれほど触れたことはなく、目にしたこともあるはずもない場所だ。しかし自来也は、まるで昔から良く知っているものを扱うように、慣れた手つきで辿り、ほぐしてゆく。見せろとは言っても、その部分を眼前に暴き晒す訳ではなかった。ナルトの表情や反応を注視しながら、複雑な構造の襞のと襞の合間に指を差しこみ、そっと広げ、感じやすい箇所を簡単に見つけ出してゆく。
　彼は、どの指でどんなふうに触れば一番効果的なのかも、しっかりと把握しているようだった。入口の周囲を行き来させる指とは別の指が、前の方の襞の奥に隠された酷く敏感な部分を探り当て、突つくように細かく叩く。
「ぁ……あっ、は、あ、あぁっ……っ、」
　たまりかねて身悶えた。乱れる呼吸の間に、短い叫びが織り交ざる。女の身体に化けたのは自分なのに、そんなところにそんな場所があるなんて、こうされるまで知らなかったのだから、備えることなど出来る訳がない。ひたすら予想外の出来事に恐れ慌てるばかりだ。
　宥めるように撫でられ、擦られるだけで、勝手に息が止まり踵が跳ね上がった。腰と意思とは関係なくがくがくと動き、内股の肉が震える。
「そ、そこ……ゃっ」
　翻弄される。桁違いに気持ち良い部分だけを集中的にしつこく加虐され、頭の中は霞がかったようにぼうっとなった。
　奥の違うところから、温んだ水分が染み出してくるのがわかる。襞の間に垂れて隙間を濡らしていく粘液を、自来也は指に絡め取った。そのままわざと意地悪く、その過敏な核へと直に塗り込める。
「ひぁ、あ、ぁあっ！」
　嬌声を上げ、腰の奥から脳髄まで猛烈な勢いで駆け上がる快感に酔う。堪え切れず、はしたなくも正直に快楽を訴えて叫び散らした。
　気が狂ってしまいそうだった。
　敷き延べられたままのたうちまわる。構わず押さえ込んでくる相手に、そうする以外ほかに為しようもなく、助けを求めた。早くどうにかしてもらいたくて、どうされるかよく知っているわけでもないのに、必死に相手の肩に指を掛け、希い、
「あ、あ、ね、お、おねが……っ」
　息を乱す。ままならぬ発音で無意識に媚びる。
「……そろそろ、出来そうだな」
　落とされる呟きに応じて、ナルトは震えながら、自らを差し出していた。隙間に刺さる手指へと、無意識に腰を押し付けている。
「そうか」
　大好きな声が、喉奥で笑いながら了解するのを耳にしながら。
　固く瞼を閉じた。


　何本もの指が押し当てられ、開かされる。空気の冷たさが粘膜を撫でた。
　自然な動作で足を開かされる。普段外気に晒されることのない内側の臓壁が、今度こそ相手の眼前で顕わにされてしまうのを感じて、ナルトは強烈な恥らいに身を竦ませた。微細な襞の一つ一つへと、入念に舌先を這わされるのをその部分で感じ取り、腿を引きつらせる。
　充血した末梢神経が剥き出しになった小さな芽を、ほじくられ、ぞろりと舐め上げられ、ぎくんと喉を仰け反らせた。
　そしてとうとう、滴る蜜の溜まった穴の入口の部分に、ちゅ、と音を立てて口づけられてしまう。
　ショックに身体が引き攣った。
「やだ、も、……やぁ……っ」
　観られ弄ばれる羞恥に悶えながら、やめてほしくて、でももっとしてほしいようでもあり、惑乱のまま懇願した。
　必要以上に辱める気の無い自来也は、あっさりと足の間から顔を離す。もう少し丹念に濡らした方が負担が掛からないのでは、と思い様子を見てみたのだが、てらてらと濡れ光るそこは、これ以上唾液で潤す必要はないほど充分に、準備を整えているようだった。
　変化の術での作り物のはずなのに、造形や機能は本物そのもので、しかもあまりに可愛らしく、出来ればじっくりと鑑賞するなり、いじりまわすなりしてみたいところではあったが、あまり恥ずかしがらせても可哀想なので、今はやめておくことにする。
（それにしても……大したもんだ。一体どうやって）
　普段、褒め言葉を控え目にしているだけに、こういう時には余計に口に出来ない。この術だけを褒め千切るような真似をするのは、少し酷だ。たぶん、拗ねるだろう。
　再び組み敷く。胸に抱き込まれ、ナルトは今度こそ大きく息を吐き、安堵の仕草で自来也の肩口に顔を埋めた。
　立てさせられた膝の角度が再度調整される。同時に足の間、指を添えて捲りあげられた襞の隙間へ、ずっしりと重い肉が圧しあてられるのを感じて、ぞくりと背骨を震わせた。
　ようやく行為が先に進むと悟り、ナルトは緊張しつつも安堵する。
「しっかりつかまってろ。力を抜いて楽に、の」
「ん……」
　ちいさく頷く。
　従順さをいじらしく感じながら、人差指と薬指でゆっくりと割り開けば、柔らかく粘液を纏う内器の肉が覗く。そのままそっと中指を挿し入れる。
　指先の少し硬めの皮の固さを感じながらほぐされて、ナルトは息を細くする。最初、痛みはあまり感じなかった。しかし、押し広げられる感覚に少しずつ慣らされ、その太さや長さに馴染んでゆくそばから、侵入する指を二本、三本と増やされてゆく。


　じっくりと時間を掛けられた後、やがて再び張りを持って固く聳り立つものを添えられると、入口への圧迫感は途端にきつくなった。
　さらに軽くではあったが裂け目に含ませられ、先端を刺し込まれる。そうやって少しでだけ入口の襞を割り開かれただけなのに、もう痛い。　
「く、ぅ……っ」
　自来也は、呻き声を上げる相手の顔色をじっと窺う。窺いながら、しかし、押し付ける力は緩めない。
「覚悟は出来てるとは思うが、すげー痛ぇぞ」
「……っ」
　それはまるで、最後通牒のような宣告だった。
「いいか、我慢は絶対にするな。痛い分だけ思いっきり泣き叫んでいい。今のお前は、男じゃねーんだからのォ……」
　ナルトは震えながら凝然と目を見開くしかなかった。どんな酷いことになるのか予想も付かなかったが、もしかしたらそれは、想像を遥かに絶するような痛みなのだろうかと、ことこの時に至ってようやく悟る。
　が、答える暇も与えられす、ぐっと腰を進められてしまった。
　動作は、極めてゆっくりとしている。だが、じわりと押し込められるだけで、まるで打ちつけられるような鈍痛に見舞われ、仰天した。
「い、いた、痛……いっ」
「……最初だけだ」
「ま、待って！　ね……エロ仙人、おねが……っ」
「待ったも、無しだ」
　がっしりと強い腕に押さえ付けられたまま、懇願は耳元で無情に却下される。